地方見聞録~人魚伝説譚~
父が亡くなってから家には私一人だ。家と、エノヒ様の子供たちがいる家か、あるいは海辺の小屋か。
オルハこそああやっていつも気にかけてくれるか、私はある程度一人で出来る。
いつまでも頼っていられない。
オルハやリンの手伝いの後、私は家に戻ってきた。一人では静かで広い。
外は曇りはじめてきた。
おじいちゃんが言っていた嵐が来るのだろう。戸締まりをし、嵐がすぎるのを待つしかない。
――――怖いかい?