わたくし、政略結婚いたします!?

そんな、自分でもよく分からない思いを抱えたまま、いつもどおり昼食をとって午後の授業に向かおうと食堂から廊下に出たとき。


「あ……!」


少し先を歩くウィルの後ろ姿が見えて、私は思わずそう声を出して、気付けば駆け出していた。



「ウィル!」


大きな声で名前を呼ぶと、ウィルが足を止めて振り返った。


「アリア嬢」


ふわりと、相変わらず綺麗で隙のない笑顔を浮かべる。



「どうしたの?」


「話があるんだけど」


「……ごめんね、今あまり時間がないんだ」


「じゃあ、いつならいい?私もこれから授業にいかなくちゃならないし…、夕方なら、会ってもらえる?」


ウィルは少し考えるような顔をした後、やがてゆっくり頷いた。


「いいよ」


「じゃあサロンで待ってるわ」


わかった、と頷いて、ウィルは私に背を向けると再び歩き出した。


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