Sion




律花はふっと微笑む。
やさしい手の平で希愛の頭を撫でる。




「もう…そういうと思った。希愛は…優しいもんね。でもね、あたし希愛の傍にいたいからいるんだよ?友達を作っても、希愛に優しい子じゃないと嫌だもん。そのくらい、あたしは希愛が好きで大切なんだよ」




その優しい言葉に希愛は泣きそうになる。
律花の言葉が本心だと感じたから…
ただ、こくこくと頷くことしかできなかった。




だけど、今の自分の気持ちを伝えたかった。
それが律花に笑顔を見せることだと希愛は考えた。




『ありがとう』




いつもよりも感謝を込めて、丁寧に相手に伝える。
優しい笑みを見せる希愛を律花はぎゅっと抱きしめた。




「もう…本当に可愛いっ!」




律花にこうやって抱きしめられることは何回もあった。
律花に抱きしめられると、とても温かい気持ちになる。
温かくて優しい何かが希愛の胸に流れ込む。




「さっ、そろそろ席に着こ。希愛は私の後ろの席だよ~」




律花に手を引かれ、希愛は自分の席に着く。
希愛の隣の席の人はまだ座っていなかった。





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