ルナのカモフラージュ
いつものホテルで、いつもの部屋。ドアを開ければ私が最後とわかる話し声。


「お。やっと俺の彼女のお出ましだー」


やっぱりチャラチャラして、からかうアキトは好きじゃない。


「ソラ。寒くなかったか?大丈夫?」


リクが笑顔でいて、さらに心配してくれると、私は暖かくなる。


「タクシーで来たから。ありがとう。ハルナちゃんも急でごめん」

「大丈夫です。アキトのシフトもリク君のシフトも休みって知ってました」


屈託なく笑ってくれるハルナちゃん。こんなに純粋に感じるのは、私が無垢で居たいと思っているからかもしれない。

同じ境遇のこの2人だから、私は安心する。


「んじゃ、アキトとハルナは向こうのベッド。俺とソラはこっち」


腰に手を回し、耳にバードキス。


「リクは盛ってんなー。俺の彼女って忘れんなよ?」


ニヤけるアキトと顔を歪めるリク。そして、笑顔のハルナちゃんに、笑顔が作れない私。


「お兄ちゃん。その発言。私という彼女を前にして失礼」

「わるい。リクも妹に構って貰え」

「……アキトは殴りたくなる」


睨み付けられたアキトは変わらず笑顔。


「どうしようもねぇ。ソラはカレシの後ろで、彼氏と楽しめ」


『どうしようもねぇ』その言葉は私を沈ませるには十分な意味を持ってる。
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