一目惚れ、恋い焦がれ
「美味しかったー」
「お兄さんもかっこいいし!オレ通っちゃう」
「もう、何言ってるのよ~」

洋酒にすっかり飲まれた私たちが席を立ったのは乾杯から3時間も経ってからだった。

さぁ、外の空気で頭を冷やさなきゃ。
深く深く息を吸い、そしてゆっくりと吐く。


「…ゆ…な?」

クレジットのサインを読み上げる声に心臓を掴まれた。
そして彼はこっそりと囁く。

「きみにそのゆびわは、にあってないよ」

これは呪文?
まわりがボヤけて何も見えない。
何も言えない。

「つぎはひとりできて、ゆな。ゆびわはだめだよ…?」

―甘い甘いシードルに溺れてしまった夜。
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