桜の木の下で
タイトル未編集
―あの桜の木の下で私達は出会った―

毎年春になると可愛らしい小さなピンク色の花を付けこれからの新生活を応援してくれているかのように、これからの新生活で起こる様々な困難を暗示しているかのように春風に揺れるあの桜の木の下で。

「ほら律、せっかくの入学式なんだから笑いなさい!」
使い捨てカメラを持ちレンズ越しに母が不満げに話し掛けてくる。

私の名前は緑川律(みどりかわりつ)
今日から晴れて中学生だ。
「はいはい」
母を不機嫌にさせるのも面倒なので空返事をするなり私は形だけのピースサインをつくりカメラを見つめた。
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