捕らわれ姫
* 1 *




念願の高校生になって、早3ヶ月。


日々の勉強に追われながら、今日も無事一日が終わろうとしていた、その時―――…



「姫野さん。 姫野さくらさん。

 放課後に全員のノートを集めて生物準備室まで持ってきて下さい」


「……はーい」



最後に面倒な仕事を押しつけられてしまった。








「さく、先帰ってるよー」

「嘘…っ ちょ、すぐ終わらせるから待ってて!」

「今日はパス。 バイトあるから」



私が全員のノートを集めていると、舞ちゃんは鞄を持って教室を出て行く。


……酷い。

友達のはずなのに。




私は32人分のノートを持ち、その重さに耐えながらゆっくり生物準備室まで歩き始めた。

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