あたたかい雪
「うん。やっとだけど……結婚しよう」


美穂を見つめ返し、昌彦が頷きながら言う。表情はやはり、照れくさそうだ。


美穂は「ふふ」と笑いながらマグカップを置くと、指輪を左手薬指にはめ、再びマグカップを手に昌彦の右隣へ並んだ。そして雪景色を眺めながら珈琲を一口飲み


「まったく、待たせてくれるんだから。それくらい早く言いなさいよ。おかげでコーヒー冷めちゃったじゃない」


と、愚痴っぽく言った。


しかしその表情は、満面の笑みを携えている。


そんな美穂に昌彦は、ハニカミながら「うん」とだけ返すと、雪だるまを左手だけで抱え、同じように窓の方を向く。
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