あたたかい雪

大概夜の間に積もるそれは、朝日ですぐに溶けてしまい、残ったものも泥や埃にまみれて汚らしい姿に変わっていることが多い。


しかしいま目の前にあるのは、１０㎝くらいは積もった、汚れのない雪……。


――今年は例年になく寒い冬になる。


ニュースでそんなことを言っていたと思い出すが、理屈などどうでもよかった。


美穂の頭の中は、とにもかくにも眼前の雪景色でいっぱいになっていた。


「――そうだ」


しばらくの間、寒さも忘れて見とれていた美穂だが、そう呟くとベッドの方へとって返し、枕元に置いてある携帯電話を手にした。