薇姫/獣帝



「なぁ~…


小さーーく携帯の着音する」



柊が唱えるのをやめて目を瞑りながらそう言う。



柊は耳がいいよね。



どーーでもいい特技だけど。←



「俺じゃねぇ」



「俺、携帯どっかやった」



伊織と柊が言って、2人の視線は私に向いた。



『ぁ、俺か』



私はバッグの中を探って携帯を出す。



表示されてるのは來哉。




とりあえず、出ようか。



『も…「お前今何処に居る」



………


“もしもし”すら言わせてもらえなかった…


私は肩を竦めながらその問いに答えた。




『理事長室だけど』


「………」




ブチッと音をたてて切れた通話。



怒気を孕んだ声は威圧感があった。



私は首を傾げながら携帯の不在着信やらメールが溜まってる表示を見て、開いた。




………



カチッ



携帯の画面を閉じて額を片手で支えた。




………


不在着信・・・43件


新着メール・・・96件



………



バカじゃないの。



これだけの着信音が鳴り響いてても気づかなかった自分もある意味どうかと思ったけど。




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