薇姫/獣帝





小さな不安は大きな不安へと時間に連れ変化していった。



不安定な精神に怒りを覚えながら琉稀の連絡を待った。








でも、5日間なんの音沙汰も無かった。





ーーーーピルルル



機械的な音が皆の重苦しい雰囲気が立ち込めた部屋に響く。





だるい腕を伸ばして携帯を取って「はい」と出ると、






『随分えらそうだな』





久しぶりの声に目を見張った。




「……琉稀?」



皆はガバッと顔をあげて俺に視線を投げた。




『うん。



ごめん、部屋に引き籠もってたら着信履歴すごくってさ』




申し訳なさそうに言う琉稀に力が抜けていった。



「……何もなくてよかった…」




『……



、明日倉庫行くから』




何かを堪えたような声色に不思議に思いながら「わかった」と返事をしておいた。










『……ありがとう』









電話を切る寸前、









そんな声が聞こえた気がした。












恭輔side -end-




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