薇姫/獣帝





「ーーーん…」




皆でワイワイと騒いで2人の病室に居た。






そして、低い呻き声がなぜか鮮明に耳に届いた。





「………來哉っ‼」





素早く獣帝のメンバーがベッドへ飛びついた。







俺達も目を丸くしてその呻き声について考えていた。




………まさか、もう起きたのか?




そんな筈無い…だって、医者は暫く起きるのに時間がかかるって………





その場に居た真弓も固まって來哉の方を見ていた。





…って、医者が黙って見ていてどうすんだよ。





呆れて背中を押すとハッとした様に來哉のベッドに駆け寄った。




「聞こえるか?おーーい!」




「…あいつって、本当に医者?」




日向が怪訝な顔で真弓を見ながら指差した。





「の、はず」と怜央が苦笑して呟いた。





「う、うぅ゛……ん…」




奴等の隙間から來哉の辛そうな顔が見えた。






……いたそ。





呑気にそんな事を考えているのを装って、内心すごく動揺していた。




重傷で起きるのかもわからなかった奴の方がさきに起きて不安が頭をよぎった。




琉稀は?




と、時々医者として一生懸命頑張っている真弓に聞きそうになる。








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