薇姫/獣帝






元からパソコンは得意だった。







それに磨きをかけてハッキングを繰り返した。









………あの日の、ことを。
















だが、それは1つもヒットしなかった。








何で?







「クッソ……‼」





パソコンのキーボードをぐしゃりと叩き潰す。






俺の技術でも調べがつかない。






何でだよ?











そんなハッキングを繰り返している時、ウラでクスリの販売がされている店を見つけた。






なぜだか、その店に行った。





何の意図もなく、ただ興味心で。





………でも、








これが俺をもっと狂わすことになることなんて、








俺は予想していなかった。















ーーー




「………あははっぁはははははっ‼」









もう、心の中でしか俺は存在しない。










表面は俺の仮面をかぶった悪魔。







化け物だ。







無意識に流れる涙は、まだ人間の狭間を縫って存在していることを認めてくれているようだった。







朝季の奴等は俺の親父のことも知っていたし、クスリのことも止められなかった。






だって、総長だもん。俺。







狂い出した思考回路を心の中の俺は絡まらさせていた。








絡まって絡まって絡まって、














千切れてしまえばいい。












ポロポロと流れ落ちる涙は俺を嘲笑っているようだった。







「ぇ………」






久しぶりのまともな言葉は、驚きの声だった。








クスリをしだしてから初めてハッキングをした。





クスリの出処は大体組にもあると思って、組についてハッキングした。









ただ、ほぼの処は正統派で、つまらなかった。





一番上にヒットした大きな組をクリックした。







アルファベットの羅列が俺の目に飛び込んでくる。






それを、適当に流して出ようとしてーーー







何かを押してしまった。










そんな時、アルファベットの羅列が消え去り、








藍城








と書かれた画面に移り変わった。










その場に残っていたデータを何となくクリックした。









それで、出てきたのは




数々の名と、






佐野 健吾






という、俺の親父の名前。










びっくりしてそれを食い入るように見つめた。








そこには、









あの日の詳細が書いてあった。









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