薇姫/獣帝
菅野というメンツが組のハッキングをよくしていると聞いて、昔は命知らずの奴だ、と呆れていた。
だが、今となっては
・・・
いい駒だ。
「菅野」
「はい」
にこりと遠慮がちに微笑む菅野に思わず口角が上がる。
「麗桜の半戯って知ってるか?」
その言葉に目を丸くして菅野は俺にはい、と答えた。
「………あの抗争のせいで親父が死んだ」
その言葉に目を見開く菅野。
口をパクパクとしながら青ざめる。
「総長、まさか…………」
「そいつ等を狩る。」
「ダメです…………!
ダメですよ!」
菅野は俺の服の裾を持って揺さぶった。
「総長らしくないっすよ‼
それに、麗桜の半戯を知ってるのなら、あのデータを見たのでしょう?!
最後まで…………っ見ましたか?!」
叫ぶ菅野のこえをどこか他人事のように聞き流していた。
だが、思いにもよらない言葉に目を見張った。
「あの被害者リストの被害者はっ
拳銃の密売人だったんですよ?!
そして、拳銃の密売を抗争真っ最中の中しにいって、勝手に死にました‼
組の抗争じゃない‼
あいつらが単独行動なんかするから、自分の命を捧げる結果になったんです‼」
…………は?
何、ソレ。
「嘘だ……」
「総長‼目を覚ましてください‼
クスリもやめましょう?!」
菅野の言葉なんて耳に入ってこなくて。
ただ、困惑した。
また思考回路は絡まりだして、
絡まって絡まって絡まって
……千切れた。
あぁ、もう…………
「何でもいいよ…」
「え……?」
「復讐さえできれば」
……何もかもがどうでも良くなった。
あぁ、俺は
千切れることを望んでいたんだ。
……自分を、知れなくなるから。