薇姫/獣帝




校門は昨日と同じで閉まっていた。



さっき、思った。


不良校のクセになんで門しまんの速いんだよ。


私はまた飛び越え様としたら、後ろから「琉稀!」とよばれてとべなかった。




振り返ると、赤い髪がそこにあった。




「琉稀、やっと学校来た…」



はぁっと溜息をつかれてまたイラっとしたけどそれは心の中に押し込んで芦屋を見た。



ちらりと一瞬だけ腕時計に目をやるともう11時だった。




『………何で芦屋、門の外に居るんですか』



そう言うと、芦屋は少し悲しげな目をしてからにかっと笑った。



「ちょっと、ね!



こっち来て!」




私は腕を掴まれて引っ張られた。



振り払ってやろうかと思ったけど、ふとあの悲しげな目を思い出したらできなくなった。




『………』



されるがままで引っ張られて行った先は、バイク置き場と化した自転車置き場。





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