注文の出来ない喫茶店【短編】
途端に家族の風当たりは強くなった
そして
離れていった



それでも私は店を閉めなかった
この店を閉じると同時に
自分の存在が
この世から消えてしまう気がしたからだ








さて、どうしたものかな
最早、経営は成り立っていない
長年、銀行勤めをしていた私だ
それくらいの算盤は簡単にはじける



久しぶりに来た客からもお金を取らずに
全く、どうかしているな




いよいよ
店を閉める時が来たようだな








私がドアにぶら下がる
営業中の札を取ろうとした時
私の横をするりと抜けて
一人の若者が店内へと入って行った




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