注文の出来ない喫茶店【短編】
私は長らく大手の銀行に勤めていた
真面目だけが取り柄だった私は
ある時、疑問に思った



この先、ずっと
このままで良いのだろうか



そして、家族の猛反対を押しきり
脱サラをし
この喫茶店を始めたのだ



何も行き当たりバッタリという訳ではない
それなりの知識も身につけ
必要な資格も最短で取った



そして
遂に開店の日を迎えたのだ




開店して暫くは賑やかだった
家族もそんな様子を見て
脱サラした事も責め立てる事はなくなった



けれど
そんなもん
にわかだった



直に客なんか来なくなった
ちょっと行った先に
大手のコーヒーチェーン店が出来たのだ




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