たった一つのお願い


「へぇー…噂は本当だったんだな」



「あ、祐司先生だ!」



「祐司………」




翌日。
俺は結局いつものように春陽ちゃんの所へ来ていて。


今日も折り鶴を作る彼女の姿を眺めていた。
手伝ったのは作り方だけで、後は彼女が一人で作りたいと言ったため俺は何もしていない。


因みに宮ちゃんはまだ来ていなかった。
代わりに呼んでもいない祐司が来た。




「いやー昨日カノンちゃんがお前をこの階で昼休みに見たって言うから来てみたら…ビンゴだな」




カノンって昨日のあの看護師か。というよりよく名前まで覚えているな、コイツは。


祐司は昔からそうだった。気さくで誰とも仲良くなれる。
しかし、嫌な所までは踏み込ませない。
距離を測るのが上手いタイプだ。
だからこうして俺とも付き合えるのかもしれない。




「検査はまだだよね?先生」



「あぁ。今日は理央をからかいに来ただけ」



「おい。患者さんの前で馴れ馴れしく呼ぶな」



「えぇ!?理央先生と祐司先生ってお友達なの!?」




あーだから言わなかったのに。




「親友だよな?」




うざったい。
肩組むな。
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