たった一つのお願い


「いや恋だから」




しかし、いつもの酒屋で飲んでいると祐司に断言された。




「今いち納得出来ない」



「認めたくないだけだろ?
なんせお前が掲げてる理想とは真逆のタイプだからな」




確かに。
もし仮にだが、春陽ちゃんを恋愛対象として見ると、


温かいご飯は勿論。
家で出迎えてくれるだなんて無理な話だ。


手術が成功しても後遺症の恐れがあるからな。


視覚障害は、脳腫瘍の発見が遅れたため、取り除いても完璧に回復していないらしい。


今回の場合は、まだ小さいが場所が悪く、手術時間がかなりかかるらしい。前回の手術で期間があまり空いていないため、体力的面を考慮して今回の手術は出来る限り支障ない程度まで引っ張っているようだ。




「恋、なんてそんなものなのか?」




だとしたら、あまりに実感が湧かない。




「そんなもんだろ。
俺はお前を見てたらヒシヒシ分かるけど?」




――やはり頷けない。
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