人な私と機械な君と
・・・_そうこう自分の紹介を長々としているうちに皆が嫌う坂道、通称遅刻坂(ちこくざか)と呼ばれる坂は、名前通りの働きをしてくれるのである。長さは200m程で角度が結構急な坂道はその日の体力次第で遅刻か間に合うかが決まってしまうと言われている(ただ時間に余裕を持って登校すればいい話でもあったりする)。
この坂道の登り方は2通りあって私みたいに自分の足で登るか・・・・___。

エンジン音をたてて坂道を登って行く緑色の長い車が私を軽々と追い抜いていく。

「はぁー、はぁっ、はぁ~、ぶ、ブルジョワめぇ~。」

息がだんだんと乱れていく美鈴は嫌味を吐きながら、坂道の頂上を今か今かと望みながら登っていく__。

__やっと頂上にたどり着いた私は信号を渡りブルジョワ達が下りたと思われる[泉の森学園前]と書かれたバス停を通り過ぎる。

そのバス停の先にはこのバス停と学校の校門を繋ぐかのようにピンク色のカーペットが隅から隅まで敷かれている。私はその100m程ある桜の並木道を駆け抜けていく__。

風が吹くと100本はあるだろう桜の木々達がピンク色の涙を一斉に空へと散りばめる・・・・。その光景は想像を絶するものであった___。

実際私がここに入学した当初はまるでこの空間だけお伽話に出てくるような別世界なのではないかと疑う程でした。

私がこの並木道を通っていく毎に制服やカバンなどがピンク色の花の模様に染め上げられていく__。

私は並木道に来てから生徒達がちらほら見かけるようになって安心していたけど、駆ける足の速さの勢いは収まらない。別にこのお姫様みたいなピンクのカーペットに浮かれて走っている訳では決してないのです・・・。
ただこの生徒達が遅刻をする前提で歩いている人達でなければ話はべつになるのですが・・・・・・___。







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