焦れる身体
「アンタ 煙草…」

「ああ、ちょっと一服してた。マラソン ダルくて」

高木は 今度は にっこりと優しく笑う。

その笑顔に真姫は不本意にもドキリとしてしまった。

「アタシも」

さりげなく隣に座り、横顔を盗み見る。

綺麗な額のラインからすっと伸びた高い鼻梁。涼し気な瞳は間近で見ると無駄に色気がある。

薄い唇は なんだか 世の中全部が不満みたいにちょっとへの字に曲がっていた。

真姫が 見ていると なんだよ、と煙草を足で揉み消しながら 高木がこちらを見た。
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