荒れ球リリーバー
ピンポーンッ

静かな部屋に響くインターホンの音。

面倒に思いながらも、気だるい体を起こしてモニターを覗いた。

「え?」

画面に映る人物に思わず小さく声を漏らした後、玄関に向かい慌てて解錠してドアを開けた。

「須永先生!?どうされたんですか!?」

ドアの前には、私の脳内2割を占める須永先生が笑顔で立っていた。

未だ着替えもせず、通勤服であるポンチ素材のバイカラーワンピースを着たままの私を見て、彼は笑顔のまま言った。

「一緒に来て」

「は?」

「外で待ってる」

有無を言わさぬ笑顔と言葉を残して、彼はドアを閉めた。

「本当に待ってる…」

カーテンの隙間から外を覗くと、道路脇に停められた車とスマホを片手にした須永先生が視界に入る。
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