荒れ球リリーバー
さも駐禁を取られそうな場所に停車している彼に、付き合う義理はない。

断ろうと決意して、再び玄関に向かおうとした私の目に飛び込むテーブルに置かれた週刊誌。

美男美女の写真を見たら、気が変わった。

スプリングコートを羽織り、トレンカを纏う足に春色のローパンプスを合わせた。

セイ。

私、堪忍袋の緒が切れたみたい。




「お待たせしました」

私の声に、須永先生は顔を上げた。

「行こうか」と言って、彼は助手席のドアを開けた。

真っ白な外車に乗る須永先生。

助手席は、右側。

誠一郎の車は黒い四駆の国産車だから、ちょっと新鮮。

プロ野球選手と言う華やかな職業と女癖の悪さに対して、金銭関係は意外と堅実な誠一郎。

維持費や燃費を考えて、国産車にしたらしい。
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