荒れ球リリーバー
私が車に乗り込みシートベルトを装着すると、同時に須永先生は車を発進させた。

須永先生は、我が家を職員名簿で調べ訪ねて来たらしい。

「どこ行くんですか?」と夜の町並みを走る車の中で質問した。

「ヒミツ」と口角を上げて返された答えに、今更ながら少し焦る。

セイへの怒りに任せて来てしまったけど、仮にも告白して来た男の車に乗るのは不味かった。

ヤバイ。行き先が非常に心配だ。

「大丈夫」

「え?」

「行き先は、至って健全な場所だよ」

私の考えなどお見通しらしい須永先生は、笑顔で安心させるよう言った。

ホッと安堵の息を吐くと、彼はクスクスと笑っていた。

でも、須永先生の言う健全な所って一体どこだろう?
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