【完】I LOVE YOUが言えるまで

当の本人の美緒は、怖い顔でパソコンとにらめっこです。


「沢口、忙しい中悪いが、頼みがある」


部長の頼みはきっとあれに違いない。


美緒は部長のデスクの前に立つ。


『部長、頼みとはなんでしょうか?』


すると、部長は美緒に書類を差し出した。


「これを営業部の俺の可愛い後輩に渡して来てほしいんだ。俺はこれから会議なんだ」


はい、可愛い後輩と言うのは永嶋のことです


『はい、分かりました。
可愛い後輩に渡しておきます。夜でいいでしょうか』


「あぁー、今日中で頼む」


部長はそう言って、オフィスを出て行った。


書類を手に席に戻った美緒。


”寄りにもよって、永嶋さんって…。
出来れば顔は合わせたくなかったのに…”


そんな言葉を心の中で呟きながら、ため息が出てしまう美緒だった…。


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