【完】I LOVE YOUが言えるまで
着信は永嶋からだった。
『もしもし、どうしたの?』
「美緒の声が聞きたくなって電話した。
今家に居るのか」と聞かれた。
永嶋の声を聞いたら、美緒は寂しさがこみ上げて来た。
『今ね、中島公園に居るんだ』
「中島公園で何してんだよ」
『ビール呑みながら、池見てた』
美緒のこの言葉を聞いて、様子がおかしいと思った。
「美緒、池の所に居るのか。俺、今からそっち行くからそこに居ろよ」
永嶋はそう言って電話を切った。
『今から来るって言った?何で?』
少々酔っていた美緒は、頭が回っていなかった…。
『永嶋さんとやり直せば、寂しくないかな…』
酔ったせいなのか、こんなことを思ってしまったのは…。
弱くなっていく自分を止められない苛立ちと情けなさに、思わず涙がこぼれた…。