【完】I LOVE YOUが言えるまで
真理子と涼子が話している間、野上は美緒を追いかけていた。
「美緒ー、待てって」
と美緒の腕を掴んだ。
美緒は立ち止まり、野上の顔を見る。
『何、離してよ、考兄』
「なんかあったんだろう、美緒」
野上には分かるのだ、美緒のことが…。
『何にもないよ、ほっといて』
野上は美緒の手を握った。
「何にもないはずないだろう。
お前たちよくケンカはしてたけど、あんなケンカしたことなかっただろう。
友達なんて面倒臭いなんて、お前はそんなこと言うやつじゃないだろう」
美緒は野上を見つめ、手を離した。
『考兄に話す様なことはない』
そう言って、美緒は走って行った。
「美緒ー!あいつは何考えてんだ」
話せと言われても、話すことなど出来ない…