主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
逆子と聞いてから、息吹は晴明が集めてきた逆子に関する書物をひっきりなし読んでいた。
それに…ほとんど毎日のように主さまが屋敷を訪れていることも知っている。
主さまが来る時は部屋から一歩も出ずにやり過ごすのだが…視線のようなものを感じる時がある。
晴明が部屋に結界を張ってくれているはずなので気のせいだと何度も言い聞かせたが…
以前主さまは自分を守るために姿を消して傍に居てくれたことがある。
それに、幽玄町を出てから1週間――
腹はますます大きくなった気がして、同時に不安も大きくなっていた。
「お産…大丈夫かなあ…父様が取り上げてくれるんだから…大丈夫だよね」
最近若葉がわからないなりに腹を撫でてくれる。
それに義経や道長もひっきりなしに会いに来てくれるので、寂しさは感じないが…不安は拭いきれない。
「………主さま…元気かな…」
つい、案じてしまう。
時々声は聞こえるが、姿は見ていない。
顔を見たいと思ってしまうと頬を思いきりつねってそれを抑制する。
第一嫌いになって離縁したのではないので、それが余計に性質が悪い。
「若葉、ちょっと狭いけど裏庭に降りて遊ぼっか」
そう声をかけて草履を履こうとした時、何かの気配を感じて竹林に目を凝らすと――何やらふわふわ動いているものを見つけた。
じっと見ていると今度はひょこっと顔を出したそれに息吹が目を輝かせる。
「猫ちゃん…?猫ちゃんなのっ?」
「息吹!会いたかったにゃ!」
駆け寄って来た虎柄の猫又を思いきり抱きしめた息吹は、ふかふかで太陽の匂いがする猫又の狭い額を撫でて再会を喜ぶ。
「どうしてここに?主さまの傍に居なきゃ駄目でしょ」
「主さまが行っていいって言ってくれたにゃ。僕今日から息吹を守るにゃ!…傍に居ても…いいにゃ?」
「うんもちろん!そうなんだね…主さまが…」
あんなにひどい別れ方をしたのに、主さまが心配してくれている。
きゅう、と胸が痛くなった息吹は、ごろごろと喉を鳴らす猫又の尻尾に包まれながら滲む目尻を拭った。
それに…ほとんど毎日のように主さまが屋敷を訪れていることも知っている。
主さまが来る時は部屋から一歩も出ずにやり過ごすのだが…視線のようなものを感じる時がある。
晴明が部屋に結界を張ってくれているはずなので気のせいだと何度も言い聞かせたが…
以前主さまは自分を守るために姿を消して傍に居てくれたことがある。
それに、幽玄町を出てから1週間――
腹はますます大きくなった気がして、同時に不安も大きくなっていた。
「お産…大丈夫かなあ…父様が取り上げてくれるんだから…大丈夫だよね」
最近若葉がわからないなりに腹を撫でてくれる。
それに義経や道長もひっきりなしに会いに来てくれるので、寂しさは感じないが…不安は拭いきれない。
「………主さま…元気かな…」
つい、案じてしまう。
時々声は聞こえるが、姿は見ていない。
顔を見たいと思ってしまうと頬を思いきりつねってそれを抑制する。
第一嫌いになって離縁したのではないので、それが余計に性質が悪い。
「若葉、ちょっと狭いけど裏庭に降りて遊ぼっか」
そう声をかけて草履を履こうとした時、何かの気配を感じて竹林に目を凝らすと――何やらふわふわ動いているものを見つけた。
じっと見ていると今度はひょこっと顔を出したそれに息吹が目を輝かせる。
「猫ちゃん…?猫ちゃんなのっ?」
「息吹!会いたかったにゃ!」
駆け寄って来た虎柄の猫又を思いきり抱きしめた息吹は、ふかふかで太陽の匂いがする猫又の狭い額を撫でて再会を喜ぶ。
「どうしてここに?主さまの傍に居なきゃ駄目でしょ」
「主さまが行っていいって言ってくれたにゃ。僕今日から息吹を守るにゃ!…傍に居ても…いいにゃ?」
「うんもちろん!そうなんだね…主さまが…」
あんなにひどい別れ方をしたのに、主さまが心配してくれている。
きゅう、と胸が痛くなった息吹は、ごろごろと喉を鳴らす猫又の尻尾に包まれながら滲む目尻を拭った。