カラフル

「……どうせ、あたしは佐奈みたいに可愛くないよ」

口元が震え、自分の顔が引きつっているのがわかった。

声を張り上げるわけでもなく、ぼそりと言い返したあたしの表情を、洋介はちゃんと見ていなかったのだろう。

「ぶっ。お前、野島と自分を比べてんの? そりゃあ、月とすっぽんだろ」

彼は両手を腹に置いて、あたしの目の前で爆笑した。

手のひらにじんわり汗が滲み、カーッと顔が熱くなっていく。

こんな風に赤面してしまうのは怒っているからではなく、また、恥ずかしいからでもなく、ただ、泣きそうになるのをこらえているからだと思う。
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