カラフル
冷たい目で、佐奈の顔をジッと見るあたし。
すると、彼女は首を傾げて、「何のことだかわからない」と言うかのような表情をする。
「好きな人、本当にいないの?」
もう一度、聞いてみた。
今、ここで本音を言ってくれるなら、佐奈がしたことを許せると思う。
黙って手紙を渡していたのはむかつくけれど、「自分も好きだ」と言えなくさせていたあたしも悪いと思うから。
だけど、佐奈は「いない」と答える。
今回も少し間を置いて、彼女はそう返してきたんだ。