カラフル

誰もいない教室で、睨みあうあたしたち。

すると、遠くから聞きなれた声が近づいてくる。

「ただいまぁ」

戻ってきたのかと思った瞬間、彼らは明るい口調であたしたちに話しかけてくる。

「……どうしたの?」

空になったゴミ箱を持って、問いかけてくる郁。

あたしと佐奈は、声をかけられても彼女に振り向くことはなかった。

どちらとも目をはなさず、睨みあったまま。

普通に「おかえり」だなんて返せるわけがない。

「何? 喧嘩してんの?」

いつもと違うあたしたちを見て、ぽつりと呟くナナ。
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