オオカミ少年。

順番にクジを引いていくクラスメートの中には、喜んでる子や落ち込んでる子が入り交じってる。


「中田の番だよ。」

「俺絶対お前の隣引くから」

なんて言って颯爽とクジを引きに行ったけど、あたしの席はまだ決まってないのになぁ。


「バカだよね、中田って。」

「そう?どうしても平山の隣になりたくて頑張ってんじゃん。」


多田くんが指差す先を見ると、クジが入っている箱の前で祈る中田が見えた。

…誰に祈ってんのよ。


「それに、平山を俺から離すチャンスじゃん。」

「え?」

あたしを多田くんから離す?


「彼女を狙ってる男が隣の席って、俺が彼氏だったら絶対嫌だし。中田も気が気じゃないんじゃない?」

彼女を狙ってる男っていうのは、つまり中田から見た多田くんのことってわけね。


「でも多田くんはもうあたしのこと好きじゃないでしょ?」

多田くんがあたしを好きだったのは、少し前の話だから。だって、ちゃんと断ったし。


「そんなこと言ったっけ?」

「あれ、言わなかったかな?」

「言ってないよ。」

それはつまり……

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