オオカミ少年。

友達に聞いた。あの人は常に嘘をついてるわけじゃないんだよ、って。寧ろすっごい正直者で分かりやすいやつだ、って。

要するに、あたしを相当バカにしてる。


「平山っ、後ろに鬼っ!」

「うそっ!!」


慌てて振り向くと、そこには誰もいない。

……またやられた。


「あははっ、嘘!」

「ちょっと中田死んでくれるかな。」


あたしを女子として見てない証拠が、毎日のこの中田の態度に現れてる。

じゃなきゃこんなバカみたいに毎日毎日嘘ついたりしないでしょ。それもしょうもない嘘を。


「あー、もう平山最高(笑)」

「笑うな!」


先を歩いていた中田を追い越して、少し乱暴に職員室のドアを開けた。

一瞬で見つけた。鬼を。

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