オオカミ少年。

階段を降りて玄関まで向かうと、なぜか無償に緊張してきて、無意識に深呼吸してた。

何だこれ。

何でこんなに緊張してんの。


カップルでもあるまいし、相手はあの中田だし、緊張する要素なんてこれっぽっちも見当たらないのに。

バカかあたしは。


―ガチャ…

「ちょっと、ほんとに…」


ほんとに来たの?

そう言おうとしてドアを開けた。


「あ…」


そこには爽やかな笑顔で出迎えてくれるお兄さんがいて。「こんにちは」なんて言ってる。


……中田じゃない!!


「お届け物です!」

「あ…、すいません…!」

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