社長と極上の生活


「杏花、ごめん」


「へっ?」


「マジで無理しなくていいから」


「ッ?!………無理してるのは………要でしょ?」


「………別に、俺は……」


常務秘書の小川に言われた一言を真に受けて……。


確かに、無理をしてないとは言い切れない。


けれど、今はまだ大丈夫だ。


沢田に教わった事で、ちょっとは成長できたか?


一昨日に比べたら、心に余裕が出来たのかも。


そんな風に心の中で呟き、肩の力が抜ける。


すると、俺の心境に反して杏花は……。


「それって…………」


ふと、俺の顔を見上げた杏花は何故か悲しい瞳に。


「ん?………それって、とは何だ?」


「………」


杏花は顔を曇らせたまま黙ってしまった。


何故にそんな暗い表情になるんだ?


俺は彼女が何を言いたいのか想像も出来ず、


彼女の次の言葉を待っていると、


俺の瞳を見据えたまま、大粒の涙を……。


< 189 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop