社長と極上の生活
「杏花、ごめん」
「へっ?」
「マジで無理しなくていいから」
「ッ?!………無理してるのは………要でしょ?」
「………別に、俺は……」
常務秘書の小川に言われた一言を真に受けて……。
確かに、無理をしてないとは言い切れない。
けれど、今はまだ大丈夫だ。
沢田に教わった事で、ちょっとは成長できたか?
一昨日に比べたら、心に余裕が出来たのかも。
そんな風に心の中で呟き、肩の力が抜ける。
すると、俺の心境に反して杏花は……。
「それって…………」
ふと、俺の顔を見上げた杏花は何故か悲しい瞳に。
「ん?………それって、とは何だ?」
「………」
杏花は顔を曇らせたまま黙ってしまった。
何故にそんな暗い表情になるんだ?
俺は彼女が何を言いたいのか想像も出来ず、
彼女の次の言葉を待っていると、
俺の瞳を見据えたまま、大粒の涙を……。