青龍と桜
入れ違いなんて珍しい……
そんなことを思っていると、ドアの近くにいた私に新田先輩が視線を向けた。
「美花は?」
「っ…、」
バチッと音がしそうな勢いで、眼鏡越しに視線が合う。
「ひ、柊くんたち、と、出ていき、ました」
「あっそ」
それだけ言うと、新田先輩は教室を後にした。
途端に新田先輩の質問に答えた私は、一部始終を見ていた女子たちに囲まれる。
「総長に話しかけられるなんて、いいなぁ~
「新田先輩と目、合ってたでしょ!」
「うらやましい~!」
「間近で見た総長、かっこよかったでしょ~」
「あたしもドアの近くにいればよかったぁ」
などなど。
私は女子たちの勢いに圧倒されて、頷くことしか出来ない。