赤い月 終
深く息を吐いた景時は、瞳に力を込めて黒曜を見据えた。
「うさぎが、俺に『闇蝕の術』をかけるって言うンだ。」
「‥‥‥ふぅん。」
気のない返事。
だが黒曜の肩が微かに震えたのを、景時は見逃さなかった。
(やっぱり…
ナンカあンだろ?)
うさぎは話してくれない。
黒曜だって、話したくないのかもしれない。
でも、ごめん。
俺は黒曜みたいに大人じゃないから。
気づかないフリさせて。
「でも俺は、なんか信じらンねーっつーか、そーじゃない気」
「なー、酒呑んでもイイ?」
一気に畳みかけようとする景時の機関銃トークを、黒曜はのんびりと遮った。
「…ハイ?」
呆気にとられる景時を残して、キッチンに消える広い背中。
聞いたンなら、返事くらい待てよ。
自由か。
気勢を削がれた景時は、ソファーの背もたれに身を預けて高い天井を見上げた。