赤い月 終

違うよ。

彼女は、真っ直ぐに人を愛しただけ。
真っ直ぐに人を信じただけ。

ただ真っ直ぐに、生きただけ。

美しすぎて、壊れてしまった。

それはきっと、うさぎも同じ。

景時は項垂れたまま、力なく首を振った。

気持ちはわかる、なんて言えるはずもない。

ペロっと話を聞いただけで理解できるほど、うさぎの負った傷は、感じた痛みは、お手軽ではないだろう。

だが、確実にわかったことがある。

うさぎは、二度と『闇蝕』を使わない。

悲しい運命を、繰り返すようなことはしない。

じゃあ、いったい何をするつもり?


『そなたに術を授けよう』


やっぱり、君は‥‥‥

そうしたら、俺は‥‥‥

俺に出来ることは、もうたった一つだけ。

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