赤い月 終

景時は手の中のバジュラに光が全部吸い込まれるのを待たず、ウォールミラーの前で構えをとって目を閉じた。

鏡が異変に気づく前に、斬らなくちゃ。

斬ってうさぎを助けなくちゃ。

俺はもう君には会えないケド。
それでもいい。

君のために死ねるなら。
これでいい。

たまーに、ほんの少ーしダケでも、俺のコト、思い出してね。

好きだよ、うさぎ。

好きだよ‥‥‥

光が、ゼンキが、刃に変わる。


「父さん、母さん、ごめん。
でもって…
ありがと。」


微笑みを浮かべながら低く呟いて。

閉じていた眼を見開き、鋭く鏡を睨みつけて。

景時は父で出来た斬鬼刀を振り上げた。

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