赤い月 終

あぁ、やはり避けられそうもない。

来る…

景時とうさぎは身構えた。


「この煩悩の化身がぁぁぁ!!」


ゴンっ


「痛ってぇぇぇぇぇ!!」


「ギャハハハハハ!
ジジィ、違ェよ。
愛の化身だはははははっ!」


景時は頭を抱えて床に転がった。
薫は腹を抱えて床に転がった。

ナニ? この温度差。

一徹クラッシュは、なんとフェイク。

ガラステーブルに身を伏せようとした景時の頭に、いきなり怒りの鉄拳が落とされたのだ。


「うさちゃんも!」


コツンっ


「にゃっ?!」


同じく身を伏せようとしたうさぎの頭にも、ソレは降りかかる。


「黙って加護になろうとするとか…
なんで相談しない?!」


秋時は片手で頭を擦るうさぎを睨みつけた。


「あ… だが…
言えば、応じぬだろう?」


「当たり前だ!!!」


険しさを増した秋時の怒声が部屋中に響き、うさぎは身を竦めた。

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