赤い月 終

ふ、と微笑みながら黒曜を見下ろしたうさぎが、不意に彼の大きな背中に抱きついた。


「ありがとう、黒曜。
そなたは本当に変わらぬな。」


「っっ/////?!
おま…
おまえも変わらねーよなっ!
そーゆー…
人を振り回すようなトコロ!!」


(振り回す?)


黒曜の身体に腕を回したまま、うさぎは首を傾げる。

残念ながら、鈍すぎる彼女に男のキモチは理解不能。


「どういう意味じゃ?

そなた、耳が赤」


「だぁぁぁぁぁ!!」


黒曜は赤くなった耳を両手で隠しながら、大声を上げた。


「行くなら、俺の気が変わらねぇウチに早く行け!」


「う… うむ。」


うさぎは慌てて黒曜から身を放し、散らばる鏡の上に立った。

赤い瞳が光を放つと、うさぎの身体が徐々に透けていく。

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