アポロチョコ

校門をくぐり、そこに山上の姿がないことに安堵して、初めてあたしはまともな精神状態に戻った。


――ここまで来たら、逆を行くしかないだろう。


さっきの教訓を生かそうと、あたしはいつもとは真逆の方向へと駆け出した。


遠回りだろうが、迷子になろうが、今は知ったこっちゃ無い。

あいつの干渉から逃げ出すことが、今あたしに出来る最大限の防御なのだ。

走って走って、走り倒したところで、やっとコンビニの明かりが見えてきた。


――助かったぁ~ とりあえずあそこに非難だ!


コンビニは都会のオアシスである。

見知らぬ街でも、コンビニだけは、どこでも変わらぬ憩いの場所なのだ。

喉も渇いたしお腹も減ってきたし、弁当でも買って腹ごしらえだ。


あたしは勇んでコンビニに足を踏み入れた。
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