“またね。”
─…元気ない?

「…あるよ?なんで?」

普通に話して、普通笑ったのに。

『元気だよ』って言ったら、きっと嘘になる。

小さなことでも気にしちゃう性格だから。

「嘘つけよ。わかりやすいんだって、お前」

わかりやすいって、ほんの数分話しただけじゃん。

理緒たちだって気付いてないよ?

…どうして、わかっちゃうの。

「言っていいよ。聞いてやるから」

菜摘は基本的にウジウジ悩むのが嫌いだし、何かあっても誰かに相談したりしない。

でも、大ちゃんに聞かれると─



どうしてだろう。

泣きたくなる。

『こんなことがあったんだ』って、言ってしまいそうになる。



先生がきたから、結局言わなかったけど

気持ちが楽になったのは確かだった。

だって、頭を撫でてくれたから。



菜摘を安心させる、1番の薬は

やっぱり大ちゃんなんだ。
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