“またね。”
「…何これ」

中を見ると、ただ呆然とすることしかできなかった。

着信履歴はほぼ同じ名前で埋め尽くされている。

今の電話もそう。

メールも同じ名前。

《今から会おう》

《会えて嬉しかった》

《好きだよ》

《また会おうね》

こんな内容ばっかり。



夜中、菜摘が寝てから会ってたの?

早退ばかりしてたのもこの子に会うため?

この子、誰?



残っている限りで1番古いメールは11月下旬。

2ヶ月も前から?

ううん。

きっと、もっと前から。

ふと、いつかの書き込みを思い出す。

─『亮介、浮気してるよ』─

本当だったんだ。

まさか浮気されてるなんて、亮介も菜摘を裏切ってたなんて

夢にも思わなかった。



ショックは受けなかった。

むしろホッとした。

別れる理由とタイミングが一気に見つかったんだから。



これで別れられる。

それに菜摘が被害者になれる。

まだそんな最低なことを思ってた。
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