10年後も…〜song for you〜
「健、ちょっと待って」
荷物を持って、立ち上がった健に私は、ストップをかけた。
「なんだよ」
「持っていかないの?」
そう言ってギターを指差す私に、健は首を横に振った。
「なんで?こういう時、あたしはカメラで、あんたはギターを持って出掛けてたじゃん」
私は、カメラを見せてギターを手に取った。
「ほら!あたし、また聴きたいよ」
「……」
健は、ギターを見つめたまま何も言わない。