10年後も…〜song for you〜
「健が持っていかないなら、あたしが持ってく」
私はそう言ってギターを背負った。
だって、あの日以来、ギターに一切触れていないみたいだから、こういう時くらいは聴きたい。
お願いだから私のわがまま、聞いてよ…。
ギターを背負い、行こうとしたら、健に強く引っ張られた。
「持っていけばいいだろう…でも、弾くかは、分かんねーぞ」
健は、渋々ギターを私から奪って背負い、玄関へと向かった。
そんな後ろ姿に、少しだけ顔がにやけた。
健のギターが聴けると思うと、お花見も少し楽しみになってきた。