10年後も…〜song for you〜
「よし、じゃあ行くかー!」
買い出しを済ませ、車に全員乗り込むと祐樹くんが、声を上げた。
「ここからどのくらい?」
絵里さんが晴人くんに尋ねる。
「もうすぐですよ。10分くらいで着きます」
晴人くんがにっこり微笑む。
はぁー。
それだけのことなのに、胸の奥がチクチクする。
「今度は、寝んなよ!着いてもぜってー起こさねぇから」
健が私の頭をコツンと叩く。
「う、うるさいな」
私は、健をキッと睨んだ。
晴人くんの前では言わないでよ!恥ずかしくて仕方ない…。
そんな私に晴人くんは、
「寝てていいよ。疲れてるんだろ?」
晴人くんがそう言って微笑んで、いつものように頭を撫でてくれた。
やばい…。相当にやける。
やっぱり、晴人くんは誰かさんと違って、すごく優しい。
「西島くんは、優しいわね。真琴ちゃん、すごく愛されているのね」
絵里さんの言葉に振り返ると、絵里さんがにっこり笑っている。
「柏木さんの言う通りです。僕は彼女を愛してますよ」
晴人くんが、私と絵里さんを交互に見た。
「やだ。晴人くん、恥ずかしいからやめてよ」
「なんで?本当のことだからさ」
晴人くんにもう一度頭を撫でられて、何気に健の方を見ると、なんだか凄く悲しい目をしていた。
健は目が合うと、目を逸らし、窓の外に視線を移した。