10年後も…〜song for you〜
「そう…」
私は、うつむいた。
こんな話をどうして私に?
「あの時、彼女は男の人と一緒だったんだ。たぶん、新しい恋人が出来たんだと思う」
晴人くんは、フッと想い出したように笑って話している。
不思議だった。
悲しい話なのに…。
「あの時は、変に動揺して逃げるように映画館を離れたけど、後から色々考えて思ったんだ…」
晴人くんは、そう言ってもう一度フッと笑った。
「彼女幸せそうに笑ってたなぁって。きっと、今の彼と居てすごく幸せなんだろうなぁって…そう思ったら、気持ちが楽になった。気付いたんだ。ちゃんと過去の想い出になったんだって」
晴人くんは、そう言うと車を路肩に停めた。
そして、私を見つめた。
晴人くんは静かに口を開いた。
「真琴は、彼と…廣川さんと居る時が一番幸せな顔してる」