10年後も…〜song for you〜
「健くん、住むとこ見つけたのかしら?こんなお金要らないのに…」
お母さんの言葉に、私は首を横に振った。
「ちがう。住むとこが見つかったから出て行ったんじゃないよ…健は…」
「え?」
お母さんが不思議そうな顔をした。
「健は…黙って出て行くようなやつじゃないでしょ?」
「じゃあ、どうしてこんな?」
落とした写真立てを拾って、健の顔を見つめる。
健は…
こんな風には出て行かない。
健は…居なくなっちゃったんだ…