10年後も…〜song for you〜
健の熱が伝わる。
心臓の音も伝わる。
ドクドクドク…
こんなに早いのか…
私は、しばし無言で抱きしめられていた。
突然のことで、私の心臓も悲鳴をあげている。
ゆっくりと自分の両手が健の背中を支え、抱きしめ返そうと力が入った瞬間、
「遅えんだよ…」
健が抱きしめたまま耳元でそう呟いてきた。
「え?」
「何で、今頃そんなこと言うんだよ…」
い、今頃って…
だって、今気づいたんだもん。
自分の本当の気持ちに…。
「お前には、晴人がいるだろ?」
な、なんでこの状況で、晴人くんの名前を出すの?
健のバカ!
健の背中を軽く叩いた。
「晴人くんは…好きだけど…でも、違うの。あたしがそばに居て欲しいのは、健だもん。健が一番なの…」
その言葉に、私を抱きしめる健の力がさらに強くなった。